第37回日本リーグ
2012-2013 Season

大会の見所

第37回日本ハンドリーグ SEASON 2012-2013

 実力接近で激戦必至の優勝争い
 〜開幕目前! 第37回日本ハンドボールリーグ〜

 第37回日本ハンドボールリーグの開幕が目前に迫ってきた。9月1日、愛知での男子・大同特殊鋼−琉球コラソン戦を皮切りにロングランの戦いがスタートする。新たにトヨタ自動車東日本(過去にセントラル自動車として2部に在籍)が加わって9チーム制となった男子は上位4チーム、従来と同じく6チームの女子は上位3チームがプレーオフ(平成25年3月9・10日、東京・駒沢体育館)に進出して優勝を争う。

 男子2回戦、女子3回戦総当たりで争うレギュラーシーズンは、途中、男女の単独開催や12月のブレイク期間もあるが、2月24日の最終週までほぼ毎週試合が続く日程となっている。

 まずはプレーオフをめぐる争いに注目が集まるが、男子は2連覇を狙う大同特殊鋼をはじめ、豊富なタレント陣を擁して王座奪回を期す大崎電気、トヨタ車体、湧永製薬の前回4強にトヨタ紡織九州を加えた5チームが激しく競り合う展開になるのは必至。さらに新戦力の加入で力をつけている琉球コラソンが上位に割って入る展開となれば、切符争奪戦はますます混沌としたものになってくる。豊田合成は1つでも上位を脅かしたいところ。北陸電力も4年連続の最下位返上に燃えている。東日本はまず1勝が目標のシーズンになりそうだ。

 女子は前回クイーンのオムロンが強力布陣でV2に挑むが、ライバルとして立ちふさがる北國銀行、ソニーセミコンダクタ、広島メイプルレッズとの力の差はわずか。この4チームの争いは最後まで目が離せない。三重バイオレットアイリス、HC名古屋は上位4チームから大きく水をあけられたここ2年間のイメージをなんとか打破したいところだ。

 7月の全日本社会人選手権は男子・大崎、女子・広島が優勝し、今回の日本リーグに向けて大きな手応えをつかんだ。それでも上位陣の争いは接戦が相次ぎ、広島−オムロンの女子決勝戦が7mスローコンテストにもつれ込むなど紙一重の実力差を再認識した大会となった。大崎も決勝リーグを2勝1敗としての逆転優勝だった。

 男子4試合が組まれた第1週では熊本での紡織−車体が白熱した展開になりそう。ともに開幕ダッシュを狙うためにもこの試合は落とせない。大同に挑む琉球の奮戦も楽しみ。大崎は合成、湧永も北電を相手に順当に白星を握る公算が強い。

 

大同特殊鋼

 前回はレギュラーシーズンこそ3位だったものの、正念場のプレーオフで一体感あふれるゲームを展開。トヨタ車体、大崎電気を連破して、2年ぶりの王座に返り咲いた。今シーズンから監督兼任となる末松が引き続きコートでもチームを引っ張り、キャプテン武田、地引、千々波、山城、岸川、野村、さらにはエースへと名乗りをあげる棚原、売り出し中の加藤とCP陣には実力派が並び、東、田中、久保のGKトリオもハイレベルの争いを展開しながらゴールを死守。プレーオフ制覇でまたひと回り成長したチームが、リーグ連覇に突き進む。

大崎電気

 前回はレギュラーシーズンを1位で駆け抜けながら、プレーオフ決勝で敗退。日本リーグだけでなく他のビッグタイトルも逃がし、無冠でシーズンを終えた。そのリベンジに燃える今シーズンは、豊田、宮﨑、小澤らの豪華な布陣に、即戦力の目玉ルーキー・信太を加えてスケールアップ。7月の全日本社会人選手権では優勝と幸先の良いスタートでリーグへと向かう。35才のキャプテン永島が先陣を切って走り、60分間攻め抜くスピーディーでアグレッシブなハンドボールにも磨きがかかっている。開幕からエンジン全開で突っ走る構えだ。

トヨタ車体

 悲願の初優勝を狙った前回は、レギュラーシーズンを2位で通過したものの、プレーオフは準決勝で大同に惜敗。再起を期しての37回リーグとなる。大黒柱の門山がデンマークリーグへ移籍。高い得点力を誇った門山の穴は小さくないが、新キャプテン・富田を中心に、1人ひとりの前を狙う姿勢がより高まり、とりわけ石戸、木切倉ら次代を担う若手選手たちの台頭が著しい。坪根、木下、甲斐のGK陣も強力で、鍛えぬいた体格を活かしたディフェンスもパワーアップ。安定した戦いでレギュラーシーズンで白星を重ね、悲願達成に挑む。

湧永製薬

 前回はプレーオフ出場権を死守したが、キープし続けてきた2、3位から4位へとランクダウン。再浮上あるのみのシーズンとなる。チームリーダーとして活躍してきた東長濱が琉球コラソンへと移籍しただけに、コーチ兼任のベテラン古家、松村、新キャプテン・志水のリーダーシップに期待が集まるのはもちろん、今井、佐藤、新、谷村、木村、樋口ら次世代の主役へと期待される選手たちの中から、核となる存在が飛び出してきてほしいところ。7月の全日本社会人選手権(4位)で大同、車体と引き分けた自信もリーグでの戦いにつなげたい。

トヨタ紡織九州

 前回は5位となり、2回続けて手にしてきたプレーオフ出場権獲得を逃がした。その悔しさを晴らそうと燃える新シーズンは、7月の全日本社会人選手権で7位と出遅れたものの、その分、GK下野や上田、ルーキーの柳ら、主軸をフォローする若手がタップリと経験を積み、選手層に厚みを増してリーグ開幕を迎える。前回のレギュラーシーズンも大崎、車体には連敗したものの、大同と湧永には1勝1敗と地力は実証済み。歯車をガッチリとかみ合わせ、波なく得意の機動力を活かせる展開へとコンスタントに持ち込んでいきたいところだ。

琉球コラソン

 主力3人の引退で苦戦が予想された前回だが、3年連続で6位の座をキープ。アグレッシブでスピーディな攻守を展開させ、紡織に5点差の快勝、4位の湧永にも1点差まで肉薄するなど健闘が光った。エース村山、司令塔・水野裕紀、守護神・石田らの奮戦に加え、新戦力の榎本、連もよくがんばり、チームの進撃を支えた。そして、新たに元日本代表の東長濱(湧永から移籍)を迎えた今回の目標も、前回の手応えをベースに「プレーオフ進出」へとランクアップ、意欲に満ちあふれてのシーズンインだ。スタートで勢いに乗り、台風の目を狙う。

豊田合成

 前回は前々回と同じ7位に終わったが、湧永から初勝利をあげるなど、内容的には着実な前進を示した。前哨戦となる7月の全日本社会人選手権でも5位に浮上。中村、今村、中島、野田ら中軸選手はもちろん、ケガの藤堂に代わってゴールに入った藤田や力をつけてきた榊原らの活躍が光り、層の厚みも増してリーグ開幕を迎える。流れをつかんで勢いづけば白星を奪えるレベルまで上位陣との差を縮めてきているだけに、好スタートを切って波に乗りたいところ。プレーオフ出場権争いに割って入り、リーグに旋風を巻き起こせるかに注目だ。

北陸電力

 前回は34回、35回リーグに続き、3回連続の最下位に甘んじた上に、14戦14敗と苦しいシーズンを余儀なくされた。それでも、切越、赤塚ら若い力がフル回転してタップリを経験を積んで大きく成長。レベルアップしたチームに、前回はあえて采配に専念した神田監督がピンポイントでコートに立ったり、佐々木、小川らルーキーの力をミックスさせて戦う今大会。まず2大会ぶりの白星獲得に全力を注ぎ込み、1勝して得た勢いをふくらませていきたいところ。7月の全日本社会人選手権でも優勝した大崎と接戦を演じるなど手応えは充分だ。

トヨタ自動車東日本

 7月からの新会社発足にともない、セントラル自動車からトヨタ自動車東日本としてリーグに参戦(セントラル自動車時代に日本リーグ2部での活動実績がある)。現時点では他の8チームとの地力差は否めないものの、元日本代表キャプテンの中川善雄監督のもと、リーグで戦うための体力、土台作りに邁進。リーグ期間中も厳しいトレーニングを重ねつつ、実戦で力を蓄えていくことになる。オフェンスでは20m×20mのスペースをフルに使い、逆にディフェンスではアグレッシブな動きで、相手にスペースを使わせないハンドボールをめざし、意欲的なチャレンジを誓っている。

オムロン

 前回はレギュラーシーズンは2位に甘んじたが、プレーオフ決勝でレギュラーシーズンでは2敗1分と分の悪かった北國銀行を破って3年ぶりに女王に返り咲いた。精神的な支柱だった久野(引退)の跡を受けた新キャプテン・藤井を中心に、充実した戦力で2連覇をめざしていく。7月の全日本社会人選手権ではあと一歩の詰めを誤り優勝を逃がしたものの、藤間、巻、東濱、石立、永田ら日本代表の主力を軸に、勝ち方を知っているのは大きな強み。韓国代表の金且妍も満を持している。シーズンで試合を重ねながらウイークポイントを克服していき、最後に笑うのみだ。

北國銀行

 V2をめざした前回は、レギュラーシーズンを11勝3分1敗の1位でさっそうと駆け抜けたものの、プレーオフ決勝でオムロンに屈した。その悔しさを晴らし、女王返り咲きを狙う今シーズン。7月の全日本社会人選手権段階では、樋口、仲宗根ら流れ、テンポを変えることができる選手が引退した穴を埋めきれず、3位にとどまったが、その穴を埋める後藤らも着々と力をつけており、大型サイド・田邉の加入も大きなプラス材料。小野澤、上町、横嶋、若松ら実績充分の現有戦力とニューパワーが力を結集し、最高のゴールへと加速していく。

ソニーセミコンダクタ

 前回はスタートダッシュに失敗したが、懸命な立て直しでジワジワと盛り返し、レギュラーシーズン最終戦でプレーオフ出場権を勝ち取った。攻守両面で豊かな経験を披露していた張素姫が引退した穴は小さくないものの、山野、錦織ら若い力がグングンと台頭。7月の全日本社会人選手権は昨年と同じく4位にとどまったが、ルーキー藤井ら新戦力にもメドが立ち、昨年以上の感触を手にしている。一気に走れるだけの力はまだないが、上位陣と勝負できる底力は充分。粘り強くライバル勢いに食らいつきながら力を高め、最後に抜け出しを狙う。

広島メイプルレッズ

 前回はソニーとのプレーオフ出場権をかけたレギュラーシーズン最終戦に敗れて4位と、悔しすぎる幕切れだった。その思いを胸に刻んで臨んだシーズン最初の全日本社会人選手権は、ベテランGK堂面の大活躍やチーム一丸となった戦いでオムロンとの7mスローコンテストにもつれこんだ大熱戦を制して復活V。最高のムードで37回リーグを迎える。攻撃の柱・宋海林への厚いマークは必至だが、それを乗り越え、社会人選手権で結果を出して自信を得たのは大きな強み。早川、高山、塩見らも台頭しており、女王返り咲きがはっきり見えてきた。

三重バイオレットアイリス

 前回はHC名古屋からの3勝にとどまり、上位4チームとの12試合は勝機を見出せないままで終わった。右のエース・伊藤の故障もあり、左のエース・早船頼みに。バックプレーヤーが手薄になり、脚力、機動力のある選手たちの力を活かしきれなかった。その苦しい状況で、阿久田ら若い選手も多くの経験を積み、チームは着実に底上げしているのも確か。7月の全日本社会人選手権では、白星なしの6位に終わったが、ベテラン浅井と日本代表・毛利のGKコンビを中心とするDFで持ちこたえ、スピーディーな展開に持ち込んで浮上を期す。

HC名古屋

 前々回のリーグで三重から白星を奪い、31回大会からの連敗(1引き分けをはさんで60連敗)に終止符を打ったが、前回は15戦全敗でまたも最下位に甘んじた。それでも1点差、4点差という僅差の試合もあり、苦しみながらも後退したイメージはなかった。エース高橋、守護神・近藤、新キャプテン・鈴木らを軸に失点を最小限に食い止め、シュートチャンスをミスなく着実に得点に結びつけたいところ。福井ら8人の新戦力(復帰も含む)が加わり、チームにフレッシュな風が吹き込んだのもプラス材料。まずは1勝を弾みに最下位脱出を狙いたい。

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