第34回日本リーグ
2009-2010 Season

大会の見所

第34回日本ハンドリーグ SEASON 2009-2010

 大同特殊鋼、オムロン主導の優勝争いに
 〜9月5日熱戦スタート! 第34回日本ハンドボールリーグ〜

 第34回日本ハンドボールリーグの開幕が目前に迫っている。9月5日愛知での男子・大同特殊鋼−湧永製薬戦を皮切りに熱戦の幕が切って落とされる。男子8、女子6チームが参加するレギュラーシーズンの男子上位4、女子3チームが来年3月20、21日のプレーオフ(東京・東京体育館)で優勝を争う。
 このあとレギュラーシーズンは、10月初旬の新潟国体をはさんで休みなく戦いが続き、女子は中国での第19回世界女子選手権(12月5〜20日)、男子は来年2月開催予定の第14回アジア男子選手権(第22回世界男子選手権アジア予選=期日、開催地など未定)のためのブレイク期間があり、女子は来年2月28日、男子は3月7日に最終日を迎える。
 前回4連覇を達成した男子・大同と女子・オムロンは、7月の全日本実業団選手権でも栄冠を獲得しており、今回も優勝争いの中心となるのは必至だ。
 大同は李才祐、松林、大田、富田がチームを離れたが、大黒柱の白元喆が衰えぬ力を示し、さらには中堅、新鋭陣の台頭で充実した戦力を誇り、日本リーグV5、さらには今シーズンの4冠奪取にあふれる意欲を燃やしている。
 エース宮﨑大輔がスペインリーグに転籍した大崎は横地ら移籍3選手にルーキーも加えた総力戦で挑む構え。新キャプテン福田がリードする湧永も古家、東長濱、新、ルーキー谷村らのがんばりで優勝争いに踏みとどまりたい。フィジカルの強さが看板のトヨタ車体、攻撃のバリエーションが多彩となったトヨタ紡織九州にも一発の力があり、上位候補からの白星が増えればがぜん混戦のリーグとなる。さらに前回からのランクアップを狙う北陸電力は初の4位内を狙ってのチャレンジとなり、これに琉球コラソンと豊田合成が続く順位争いとなりそうだ。
 女子もオムロンがライバル勢を一歩リードしている感じだ。名手・佐久川が抜けた穴も髙田の成長でカバー、センター石立の加入で東濱、藤井とのコンビネーションも多彩となり、今季からヘッドコーチ兼任となった洪廷昊も健在で抜群の安定感を誇る。
 「打倒・オムロン」の担い手となるのは北國銀行とソニーセミコンダクタ九州の両チーム。前回とほぼ同じ陣容で臨む北國はエース上町をはじめ各選手のスピード豊かな攻防で勝負をかける。選手兼任の郭惠靜ヘッドコーチが陣頭指揮するソニーも長野、高栖、ルーキー髙橋らでファイナルステージ進出を狙う。着実に戦力が整備されている広島メイプルレッズと三重バイオレットアイリスは、いかに試合ごとの波をなくして上位3チームに食らいつくか。前回未勝利に終わったHC名古屋は、まずは1勝が目標となろう。

 

大同特殊鋼

 李才祐、松林、大田、富田という実力派4人がチームを離れたものの、7月の全日本実業団選手権では3年ぶりの栄冠を獲得。清水監督がシーズン4冠達成に向けて「勝つことが第一」と勝負にこだわる一方、出場機会を得た新加入の野村らも要所での活躍でキラリと存在感を示し、大車輪の働きを見せた白元喆はじめ、中堅、若手の台頭が目立った。守護神・高木とともに成長著しい新鋭・東が大同ゴールを死守、ポスト富田が抜けた穴も千々波の進境でカバーしている。今シーズンもタイトル争いは大同を中心に回っていきそうだ。

大崎電気

 スーパースター・宮﨑がスペインに移籍し、長くチームを支えた濱口、東が引退。代わって夏山、染谷、森のルーキーに加え、海外から移籍の吉田(エストニア・チョコレートボーイズ)、豊田(韓国・斗山)、Hondaから移籍の横地と、実績充分の実力派が加入。大きく入れ替わったメンバーを指揮するのも岩本新監督と、一新ムードにあふれる。7月の全日本実業団選手権でも絶対的なエースが抜けた分、新キャプテン永島を中心に、いっそう全員で戦うという意識の高まりが感じられただけに、モデルチェンジしたチームの戦いは必見だ。

湧永製薬

 山口監督1年目の前回は、チームの支柱と期待していた東長濱の故障などもあり、戦闘態勢を整えることに大きなエネルギーが注がれ、タイトルには手が届かずに終わった。今シーズンは、東長濱が長丁場をフル回転できるかどうかが、まず大きなポイント。坪根、東という長年、チームを支えてきた心強い存在が抜けた穴は、3月のプレーオフでも経験を積んだ谷村、木村の両ルーキーもまじえ、全員で埋めていくことになる。ベストコンディションを維持して最後まで戦い抜けるならば、第22回リーグ以来となる頂点到達も見えてくるはず。

トヨタ車体

 前回は3年連続となるプレーオフ進出を果たし、最後まで頂点をつかむ勝負の土俵に乗り続けた。レギュラーシーズンでも大崎電気、湧永製薬から1勝ずつをマークし、着実な前進を印象づけている。リーグ屈指の鍛え抜かれたフィジカルの強さを武器とするスタイルは、今シーズンも変わりない。あとはプレーごとの精度を高めるとともに、試合ごとの波をなくして、いかにコンスタントに力を出せるかがポイント。また、引退した長身ポストマン・長谷川の後を任せられる選手の台頭もカギとなる。GK坪根の湧永からの加入は大きなプラスとなろう。

トヨタ紡織九州

 元島前監督から谷川新監督(選手兼任)へとバトンが引き継がれてのシーズン。新体制となっても持ち前の足をフルに活かし、スピードで押しまくるスタイルは不変だ。3シーズン、ドイツでプレーした石黒が復帰したのも興味深い。石黒は7月の全日本実業団選手権ではまだ試運転状態だったものの、すっかり主力に定着した中畠、海道らとのコンビが深まって迎える開幕には本領発揮となることだろう。ここ3シーズンはあと一歩でプレーオフ進出を逃がしているだけに、4シーズンぶりのプレーオフ復活が最大のテーマになる。

北陸電力

 前回は前々回に続いて5勝をマークして7位。浮上への足場を固めて迎えるシーズンとなる。前田、桜井と主力をケガで欠いた7月の全日本実業団選手権は7位(前回6位)とランクを下げたものの、期待の3年目・山原がキラリと光る活躍を見せるなど、随所に明るい材料も見られた。戦う態勢さえ万全に整えることができれば、ランクアップのためにターゲットとなるトヨタ車体、トヨタ紡織九州にも充分対抗できる力を持っているチーム。とことん1点にこだわり、勝点を積み重ねて、ステップアップのシーズンとしたいところだ。

琉球コラソン

 リーグ初参戦となった前回は、開幕から6連敗と厳しい“洗礼”を浴び続けたものの、豊田合成から2勝、北陸電力、トヨタ自動車から1勝ずつの計4勝をマーク。8位とまずまずの結果を残し、エース村山は7mスロー得点賞、そして最優秀新人賞も獲得した。引退者の穴を埋め切れなかったこともあり、7月の全日本実業団選手権は9位と出遅れたが、キャプテン久高を先頭に、しっかりと開幕に照準を合わせている。現時点で登録選手13人と選手層の薄さは気になるものの、持ち前の熱いハートを前面に押し出してカバーしていくことだろう。

豊田合成

 第31回リーグから3年連続して9位と結果こそ横ばいだが、その内容は着実に右肩上がり。前回6位のHondaとは1勝1敗、7位の北陸電力には連敗したとはいえ、1点差、2点差の惜敗と、すでにリーグ中位クラスの地力を持っている。加入4年目のポストプレーヤー中村を始め、左腕エース今村、センター大橋、GK藤堂ら20代前半のメンバーが主戦力となる若さは不安定さにつながる面も否めないが他のチームにはない大きな武器。意欲あふれるチャレンジで、会社創立60周年、リーグ参入10年目と節目のシーズンに躍進を期している。

オムロン

 日本代表・黄慶泳ヘッドコーチがアドバイザーコーチとなり、代わって洪廷昊ヘッドコーチ(選手兼任)のもとで新体制がスタート。日本代表の両軸となる東濱、藤井のコンビに、センターでゲームメイクが期待できる石立の加入、韓国球界に転じた名手・佐久川の抜けた穴は髙田の成長でカバーする。日本代表のディフェンダー巻、サイド城内、GK藤間のほか、何度も修羅場をくぐり抜けてきた坂元、GK勝田らベテラン勢も健在で、盤石のチーム力を築いている。ライバルがその行く手を阻むのは容易ではあるまい。

北國銀行

 前回得点王となった上町をはじめ、守護神・田代、ポストのスペシャリスト横嶋、ディフェンダー中村(旧姓・小野澤)、神出鬼没の野路姉妹、トリッキーなプレーで存在感を増す仲宗根、俊足の若松と宮前、故障の癒えた佐久川ら昨シーズンの陣容と大きな変動がなく、“ストップ・ザ・オムロン”の一番手と目される存在だ。体格的なハンデを高いDFラインでのアグレッシブな守りとスピードあふれるランニングプレーで勝機を見出していく。見る者の心をゆさぶるハイテンポの戦いぶりで今シーズンも60分間フルに走りまくりそうだ。

ソニーセミコンダクタ九州

 前回はレギュラーシーズンを2位で通過したものの、プレーオフで戦闘態勢を整えきれず3位。緒方前監督に代わり、郭惠靜ヘッドコーチ(選手兼任)のもと、巻き返しを図るシーズンとなる。DFからの速攻をベースに、7月の全日本実業団選手権ではポスト高栖を基点としたコンビプレーなど、セット攻撃の精度アップにも重点を置いている印象だったが、郭ヘッドが長丁場をどう戦い抜いていくかに注目したいところ。飛田、長野、樋口らの実績組と、代表にも加わって勢いあふれる新人・髙橋ら新戦力が“化学反応”を起こせば、楽しみはふくらむ。

広島メイプルレッズ

 呉龍基監督のもと、巻き返しを狙った前回は5勝1分9敗と負けが先行し、2年連続の4位。捲土重来のシーズンとなる。2年目を迎えた左腕・李や日本代表でも主軸として期待される植垣ら核となる選手を擁し、7月の全日本実業団選手権では横田、村山、栗本らルーキーも先輩に劣らぬ活躍ぶりで、明るい材料は多い。引き続き若いメンバーも多くコートに立つだけに、試合でしっかりと結果を出すことで自信を積み重ねていきたいところ。スタートダッシュに成功し、プレーオフ出場戦線で戦い続けられればリーグも活気づくだろう。

三重バイオレットアイリス

 前回は広島メイプルレッズと5勝1分9敗で並んだが、対戦間得失点差で上回られ2シーズン連続の5位。順位アップこそならなかったが、メイプルレッズとは1勝1分1敗とまったくの五分で、北國銀行からも白星を奪うなど、中身はしっかりと前進を感じさせた戦いだった。司令塔の伏見らが抜けたのに対し、新加入選手はゼロと、戦力の上積みはないものの、前回で得た自信は大きい。果敢にチームを引っ張る橋本、ハイレベルの浅井、毛利の両GKを中心とし、1つひとつのプレーの精度を上げ、接戦をしのいで勝点をものにしていきたい。

HC名古屋

 第31回リーグの終盤6連敗以降、第32回(前々回)、第33回(前回)ともに15戦全敗。36連敗という不名誉な記録を更新したまま今シーズンを迎えるHC名古屋。なんとかまず勝点をその手にしたいところだが、現在の登録選手は13人。しかも体調不良者や故障者が含まれており、実戦のコートはさらに厳しい状態で迎えざるをえない状況となっている。高橋(瑛)の懸命のリードからベテラン菅谷や好左腕・佐藤が打ち込み、守護神・近藤がゴールを死守しながら、相手に食らいつく時間をいかに延ばしていけるかがポイントとなる。

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